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石野 雅彦; 依田 修; 竹中 久貴*; 佐野 一雄*; 小池 雅人
Surface & Coatings Technology, 169-170(1-3), p.628 - 631, 2003/06
Mo/Si多層膜は、波長13nm近傍の軟X線領域において、高い直入射反射率を示すが、300以上の温度においては、多層膜界面での原子拡散やSi化合物の生成により、多層膜構造が劣化し、反射率が減少する。そこで我々は、熱による原子の拡散と化合物の生成を抑制し、Mo/Si多層膜の耐熱性を向上させることを目的として、イオンビームスパッタ法を用いて、界面にSiO層を挿入したMo/Si多層膜を成膜した。耐熱性評価のため、多層膜試料に対して、真空加熱炉を用いて600までの加熱処理を行った。そして、CuK線を用いたX線反射率測定を行い、Mo/Si多層膜の構造評価を行った。その結果、従来のMo/Si多層膜は、350以上の温度で周期構造が大きく劣化したのに対して、SiO層を挿入したMo/Si多層膜の構造変化は小さく、耐熱性の向上が確認された。また、軟X線反射率測定の結果からも、SiO層の挿入は、Mo/Si多層膜の耐熱性に有効であることを確認した。
石野 雅彦; 依田 修
Journal of Applied Physics, 92(9), p.4952 - 4958, 2002/11
被引用回数:6 パーセンタイル:28.33(Physics, Applied)Mo/Si多層膜界面にSiO層を挿入することにより、Mo/Si多層膜の耐熱性は大きく向上するが、Mo/Si多層膜が高い反射率を示す波長13nm近傍の軟X線領域では、酸素によるX線の吸収が大きいため、SiO層を挿入したMo/Si多層膜の軟X線反射率は減少する。そこで、高い耐熱性をもつMo/SiO/Si/SiO多層膜に対して、軟X線反射率の向上を目的にSiO層厚の最適化を行った。600までの熱処理に対する構造評価と、軟X線反射率測定の結果、Si-on-Mo界面に0.5nm,Mo-on-Si界面に1.5nmずつのSiO層を挿入したMo(4.0)/SiO(0.5)/Si(4.0)/SiO(1.5)多層膜が高い耐熱性と軟X線反射率とを実現することを見いだした。この多層膜は400における熱処理後も熱処理前と同様の高い軟X線反射率を示し、500までの熱処理に対して安定な構造を有する。この温度は従来のMo/Si多層膜に比べ、約200と高い。